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国民党対共産党

, 山崎雅弘

によって 山崎雅弘
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中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)の関係は、変動の激しい第二次大戦後の国際情勢の中でも、やや特異な部類に属していると言える。1971年10月、国連の常任理事国としての強い発言力を「第二次大戦の戦勝国」である中華民国から奪取することに成功した中華人民共和国側は、一貫して「台湾は中国固有の領土であり、中華民国などという独立国家は存在しない」と主張し続けており、日本もまた中華人民共和国政府への配慮から、中華民国との正式な外交関係を樹立しない状態を保ちつつ、かつて日本の植民地であった彼の地との文化・経済面での交流関係を注意深く築き上げてきた。一方、中華民国は今なお中華人民共和国の北京政府の統治下に入ることなく、独自の政府が発行する独自の通貨で経済活動を行いながら、オリンピックなどの国際的なスポーツ大会には「チャイニーズ・タイペイ」の名で独自の選手団を派遣している。中には、南米のパラグアイのように、中華民国を独立国として正式に承認し、首都アスンシオンに中華民国の初代総統・蒋介石の像や「蒋介石大通り」を持つ国も存在する。それぞれ独自の道を歩みながら、公式には双方の代表者とも長らく「我々こそが中国の唯一正統な政府である」と主張し続けてきた、中華人民共和国と中華民国。この奇妙な競合関係は、第二次大戦終結の直後に発生した、ある内戦が決定的な要因となって誕生し、それから今日に至るまで、少しずつ形を変えながら継続してきた。一般に「国共内戦」と呼ばれるこの戦争は、中国への「侵略者」つまり日本軍という共通の敵を失った中国国内の二大勢力──蒋介石率いる国民党と、毛沢東と周恩来の指導する共産党──による、戦後中国の支配権をめぐる大規模な内戦だった。この二大勢力は、20世紀の中国で合従と離反を繰り返しながら、最終的には現在の台湾海峡における緊張状態を創り出すことになる。それでは、中華人民共和国と中華民国の相克を生み出すきっかけとなった国共内戦とは、いったいどのような戦争だったのだろうか。本書は、1911年の孫文の「辛亥革命」から1949年の国共内戦終結までの38年間にわたる、中国近代史の柱とも言える「国民党と共産党の協力と敵対の歴史」を、わかりやすく解説した記事です。2001年9月、学研パブリッシングの雑誌『歴史群像』第49号(2001年10月号)の記事として、B5判12ページで発表されました。国民党と共産党が誕生した経緯を知ることは、そのまま現代中国の成立過程を振り返ることにもなります。なお、国共内戦が中国側の勝利と共に終了した後の中国・台湾関係については、戦史ノート第13巻『中国・台湾紛争史』で、蒋介石の国民党指導者としての足跡については第39巻『蒋介石伝』で、毛沢東の共産党指導者としての足跡と人民解放軍の創設過程については第24巻『中国人民解放軍創設史』で、それぞれ詳述していますので、それらも併せてお読みいただければ幸いです。《目次(見出しリスト)》中国と台湾、その緊張と対立の起源《清朝の没落と革命勢力の隆盛》「辛亥革命」の顛末中国国民党と中国共産党の誕生孫文の死去と蒋介石の中国統一《日中戦争と中国内部の争い》「中国工農紅軍」の誕生と毛沢東の躍進「長征」から「第二次国共合作」へ抗日戦争と諸外国の中国支援《合作の崩壊──国共内戦の勃発》対日戦の勝利と国共の不協和音国民党軍と共産党軍の衝突《遼瀋・淮海・平津の三大戦役》人民解放軍の反攻開始三大戦役における共産党軍の大勝国民党の敗因とその後の中台関係
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このページの上の「商品の説明」に、「本書は、1911年の孫文の『辛 亥 革 命』から1949年の 国共内戦終 結までの38年間にわたる、中国近代史の柱とも言える『国民党と共産党の協力と敵対の歴史』を、わかりやすく解説……2001年9月、学研パブリッシングの雑誌『歴史群像』第49号(2001年10月号)の記事として……発表」とあるように、Kindle版での発行が「2015/1/7」とある割に発表は些か古い。本書の趣旨が右に言うように「1911年の孫文の『辛 亥 革 命』から1949年の国共内戦終結までの38年間にわたる、中国近代史の柱とも言える『国民党と共産党の協力と敵対の歴史』」とあることからすれば大きな問題ではないが、本書本文中に台湾「国民党」の「連戦」と「中国共産党」の江沢民との「首脳会談」の実現性と「第3次国共合作」について推測する論脈があるので、違和感のあるトピックも見える。ただ趣旨は「国民党と共産党が誕生した経緯を知ること……現代中国の成立過程を振り返ること」として一貫しており、日本や欧米との関連は必要限度の論述と言って良いだろう。本書の構成・内容は、前記「商品の説明」に詳しいのでそれに譲るが、本書は1905年の孫文らに依る「中 国 革 命 同 盟 会」の誕生から書き起こしている。そして「辛 亥 革 命」から中華民国」政府樹立などを概観する。袁世凱と孫文らとの政権闘争とこれに勝った袁世凱の独裁と失脚、孫文の復活と「国民党」、そして陳独秀や毛沢東らに依る「中国共産党」、「第1次国共合作」、孫文没後の蒋介石の台頭と独裁、そして北伐と内戦といった目まぐるしい権力の変遷と混乱など要点が簡潔に纏められており、中国王朝の歴史の短縮版を見るようで判りやすい。毛沢東と周恩来らに依る「長征」、「第2次国共合作」、日中戦争における蒋介石と中国共産党の動向、欧米の支援情況、そして戦後再びの国共内戦の契機などを解説する。中でも「国民党」の敗北要因(「腐敗」と「インフレ」)、裏返せば「中国共産党」の(農民・労働者の)解放政策という分析は注目されよう。けだし右「国民党」の歴史(政権闘争と抑圧)はそのまま毛沢東政権史において見事に再現されるからである。本書は中国共産党王朝に至るまでの、近代の「政権闘争」と「腐敗」の歴史短観と言える。

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